「表示されたか」では足りない ― AKARUMIを既存の分析ツールとどう使い分けるか

「表示されたか」では足りない ― AKARUMIを既存の分析ツールとどう使い分けるか

AI検索時代のブランドの見え方を可視化するツール「AKARUMI」。前回はなぜ生まれたのかを聞きました。今回は一歩進めて、従来のSEOツールやアクセス解析と何が違うのか、そして実際の施策判断にどう使うのかを、前回に引き続き開発担当である弊社代表の土井に聞いていきます。

従来のSEO・アクセス解析ツールと、AKARUMIは何を見ているのか

――従来のSEOツールやアクセス解析ツールでは、主にどんな情報を把握できますか?

ざっくり言うと、「自社サイトの状態」と「検索エンジン上での位置」ですね。検索順位が何位か、どれくらい流入があったか、どのページがよく見られているか、どこで離脱しているか。サイトに来た後の動きや、検索結果の中での立ち位置を測るものです。

長く使われてきただけあって、ここはかなり精緻に見られるようになっています。流入がどのキーワードから来たか、どの地域からか、どの時間帯か。かなり細かく分解できる。逆に言えば、これまでのマーケティングは、この「測れる範囲」を前提に組み立てられてきたわけです。

――それに対して、AKARUMIが見ているのは別の場所なんですね。

はい。AKARUMIが見ているのは、AIの回答の中です。検索順位でも流入数でもなく、AIがユーザーに答えるとき、自社をどう紹介しているか。何回名前が出るか、何番目に出るか、どんな文脈で語られるか。

従来ツールが「サイトに来た後」と「検索結果の中」を見るのに対して、AKARUMIは「AIがユーザーに語っている瞬間」を見ている。場所が違うんです。ユーザーがサイトに来る、もっと手前の段階を見ている、と言ってもいい。

――指標そのものも、かなり性質が違いそうですね。

違いますね。検索順位やクリック数は、数字でくっきり出ます。100位より10位が上、というのは誰が見ても同じです。一方でAIの回答は、文章です。「おすすめです」と書かれるのか、「選択肢のひとつ」と書かれるのかで、同じ言及でも意味が変わる。

数字だけでなく、語られ方というテキストの中身まで読む必要がある。そこが従来の指標と根本的に違うところです。だから私たちは、頻度や順位といった数値と、実際にどう書かれたかというテキスト、その両方を残すようにしています。片方だけだと、判断を誤るからです。

――ということは、SEOツールの代わりになるわけではない。

そこは強調しておきたいです。代替ではありません。検索順位やサイトの改善は、これまで通り大事です。AIに参照されるためにも、結局はサイトがちゃんと作られていることが土台になりますから、SEOの重要性はむしろ続いていきます。

AKARUMIは、それに「AIの中での見え方」という軸を一本足すもの。引き算ではなく足し算で捉えてもらうのが正しいと思います。従来のツールで足元を見て、AKARUMIでその先の景色を見る。両方あって、はじめて全体像になります。

AI回答を「確認する」のと「分析する」のは何が違うのか

――自社名がAIの回答に出ているかを確認するだけでは、どんな判断が難しいままになりますか?

「出ているからOK」で止まってしまうと、改善の手がかりが何も得られないんです。出ている/出ていないは、〇か×かの一点だけ。でも実際の打ち手は、その×や〇の中身を見ないと決められません。

なぜ出ていないのか。出ているとして、良い文脈なのか。確認だけだと、そこから先に進めないんですね。健康診断にたとえるなら、「体重を量った」で終わっていて、それが多いのか少ないのか、どこをどうすべきかには踏み込めていない状態です。

――同じ「表示あり」でも、意味がまったく変わるケースもあるんですよね。

よくあります。たとえば「価格は高いが品質は高い会社」と紹介されるのと、「コスパ重視の会社」と紹介されるのとでは、同じ表示ありでも、来てほしい客層がまるで変わる。

自社が打ち出したいポジションと、AIが語っているポジションがずれていれば、それは表示されていても課題ありの状態です。〇に見えて、中身は要改善ということが起こります。表示の有無だけ追っていると、こういうズレは一生見つかりません。

AKARUMIの見方を社員に教える土井

――競合との並び方や紹介の文脈を「指標」として見ると、何が見えてくるのでしょうか?

自社の相対的な立ち位置が見えてきます。いつも特定の競合の後に名前が出る、ある切り口になると競合だけが挙がって自社が消える。そういうパターンが見えると、「どの土俵で負けているか」が具体的になる

たとえば「価格」を軸にした質問では競合が先に出るのに、「サポート」を軸にすると自社が先に出る、とわかれば、自社の強みがどこでAIに評価されているかが見える。

確認は現状把握で止まりますが、分析は「だから次にどこを動かすか」まで持っていける。同じAI回答を見ていても、見方が一段違うんです。

AKARUMIの画面

プロンプトごとにタグを付与すれば、自社が言及されやすい質問、されにくい質問を可視化できる。

揺れやすいAI回答を、どうやって分析に耐える形で扱うのか

――生成AIの回答は変化しやすいですが、分析するうえで難しいのはどんな点ですか?

同じ質問をしても、毎回まったく同じ答えが返るわけではない、という点ですね。表現が変わったり、挙がる会社の顔ぶれが少し入れ替わったり。だから一回の結果だけを切り取ると、それが実力なのか、たまたまなのか、判断がつきません。

しかもAIのモデル自体も更新されていきます。昨日までの傾向が、アップデートで変わることもある。動いている対象を見ている、という前提を持っておく必要があります。

――単発の結果だけを見ると、誤解も起きやすそうですね。

起きやすいです。たまたま良い回答が出た日に見て「うちは強い」と思い込んだり、逆にたまたま出なかった日を見て「全然ダメだ」と落ち込んだり。どちらも、一枚のスナップショットに振り回されている状態です。

天気と同じで、ある一日が晴れだったからといって、その土地の気候はわからないですよね。一日の天気と、その土地の気候は別物です。AIの回答も、一回の結果と全体の傾向は分けて考えないといけません

――継続して観測すると、揺れの中から何が見えてくるのでしょうか?

傾向が見えてきます。毎回揺れても、ならして見れば「だいたいいつも上位に出る」「この競合には安定して負けている」といった軸が浮かび上がる。一回ごとの揺れはノイズでも、積み重ねると傾向というシグナルになるんです。

なので、回答を都度記録して残していくことを前提にしています。いつの時点でどう語られていたかを蓄積しておけば、点ではなく線で見られる。線で見て初めて、施策判断に使える情報になります

AKARUMIに蓄積したデータを基に資料を作る社員

――揺れること自体は、必ずしも悪いことではない、と。

そうですね。揺れるからこそ、変化を捉えられるとも言えます。施策を打った後に扱いが上向いたか、ある時期から急に競合が強くなっていないか。継続して見ていれば、変化そのものが判断材料になります。

施策の効果検証にも使えるんです。情報発信を強化した、サイトを直した、その前後でAIの扱いがどう動いたか。線で残していれば、打った手が効いたのかどうかも見えてくる。揺れを消すのではなく、揺れを読む、という発想です

AKARUMIの分析結果は、どんな施策判断に使えるのか

――分析結果は、具体的にどんなマーケティング判断に活用できますか?

大きく言うと、「どこに手を打つか」の優先順位づけですね。AIの中での見え方は、出ていない、出ているが弱い、競合に負けている、と状態がいくつかに分かれます。

状態ごとに打つ手が変わるので、まず現状を分類することが判断の出発点になります。

限られたリソースをどこに振り分けるか。全部に手を打つことはできないので、一番効く場所から潰していく。その判断材料になります。

――自社がAIの回答にまったく出ていない場合はどう判断できますか?

その場合は、そもそもAIに認識されていない可能性が高い。だとすれば、AIが参照する情報源の中に、自社の情報が十分に存在していないのかもしれません。発信そのものを増やす、参照されやすい場所に情報を置く、といった方向の施策を検討するきっかけになります。

まず認識されること、土俵に上がること。そこが最初の目標になります。

――競合と比べて弱く見えている場合は、どう考えますか?

その場合は、認識はされているが評価で負けている状態です。なぜ競合が先に挙がるのか、どんな文脈で競合が選ばれているのかを見て、自社の打ち出しと照らし合わせる。情報が古い、強みが伝わっていない、といった具体的な差が見えてくることが多いです。

認識されていない場合と、評価で負けている場合とでは、打つ手がまったく違う。だから、どの状態にいるのかを見極めることが先決なんです。

――引用元や参照されている情報を見ることは、改善にどうつながりますか?

ここが実務では一番直結する部分です。AIがどのページを根拠に回答を作っているかがわかれば、手を入れるべき場所が特定できる。参照されているページの情報が古ければ更新する、自社サイトが参照されていなければ、参照されうるコンテンツを用意する。

「なんとなく発信を頑張る」ではなく、「この情報源に、この情報を」と狙いを定められる。やみくもに量を増やすのではなく、効く場所に絞って手を入れられるので、打ち手が具体的になります。

AKARUMIの実際の画面

引用されているページを見ていけば、自社に足りないページはなにか、どのような情報の整理が必要かの手掛かりになる。戦略が具体的になるため、LLMOに直結する。

――最後に、AKARUMIは既存のSEOやコンテンツ、広報の施策と、どう組み合わせて使うのがよいと考えていますか?

AKARUMIは、施策を決めるための「観測装置」だと思ってもらうのがいいです。AKARUMI自体が何かを書いたり発信したりするわけではありません。見えた課題を、実際の手で埋めにいくのは、SEOでありコンテンツであり広報です。

たとえば、参照元が古いとわかればコンテンツ側で更新する。事実と違う説明をされているとわかれば広報側で正しい情報を出す。順位で負けているとわかればSEOで土台を固める。LLMOやGEOの施策も、まず現状が見えていないと優先順位が決められません。

観測して、課題を見つけて、既存の施策で埋める。そして、また観測して効果を確かめる。その繰り返しの起点に置いてもらうのが、一番活きる使い方だと考えています。

最初の一回で終わるものではなく、回し続けることで効いてくる。そういうツールだと思っています。

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