「検索で見つけてもらう」時代から、「AIにどう語られるか」の時代へ ― AKARUMI開発の背景

「検索で見つけてもらう」時代から、「AIにどう語られるか」の時代へ ― AKARUMI開発の背景

生成AIやAI検索が日常の調べものに使われるようになり、ユーザーが企業情報に出会う経路は確実に変わってきています。検索結果の一覧ではなく、AIが返す一つの「回答」を参照する人が増えてきました。

こうした時代に、企業は自社がAIにどう扱われているかを把握できているのでしょうか。AI検索時代のブランドの見え方を可視化するツール「AKARUMI」の開発担当である弊社代表の土井に、開発に至った背景を聞きました。

AI検索で、情報との出会い方はどう変わったか

――まず、生成AIやAI検索が広まったことで、ユーザーが企業の情報に出会う経路はどう変わってきたと感じていますか?

一番大きいのは、「答えにたどり着くまでの過程」がなくなったことですね。これまでの検索は、ユーザーが結果の一覧を見て、いくつかのサイトを自分で見比べて、判断していました。十個のリンクが並んでいて、その中から自分で選ぶ。選ぶ主導権はユーザー側にあったんです。

でもAIに聞くと、比較の過程を全部AIがやって、ひとつの答えにまとめて返してくる。ユーザーは候補を並べて選ぶというより、出てきた答えをそのまま受け取るようになってきています。

――つまり、検索結果で「見つけられる」ことと、AIに「解釈される」ことは、もう別物になってきているんですね。

そうですね。分けて考える必要があります。検索で上位に出るというのは、いわば土俵に上がれている状態です。ユーザーの目に触れるところまでは行けている。

でもAIの場合は、土俵に上がった後にAIが「この会社はこういう会社です」と紹介文を書いて、しかも競合と並べて評価まで添えてくる。見つけてもらえるかどうかの前に、どう語られるかという段階が一つ増えたんです。

検索が「場所取り」の勝負だとすれば、AIは「紹介され方」の勝負。ルールが変わったと捉えています。

インタビューに笑顔で応える土井

――その変化は、わりと早い段階から見えていた感覚はありますか?

ありますね。SEOのコンサルをやってきたので、検索がこの先どう動くかは常に追ってきました。生成AIやAI検索が検索を置き換えていく流れも、世の中で話題になるより前から見えていたと思います。

クライアントから「AIに自社のことを聞いたら、こんな風に紹介されていた」という相談が増え始めたのも、その頃でした。検索の最前線にいたぶん、次の主戦場がここになるという確信は、早めに持てたと思います。

――実際に検証もしてみたんですよね。

はい。いろいろなAIに「この業界のおすすめの会社は?」と聞いてみると、AIによって挙がる会社も紹介の仕方も違う。あるAIで一番手に出る会社が、別のAIではまったく出てこない。

事実と少しずれた説明をされている例もありました。古い情報をもとに紹介されていたり、すでに終了したサービスがまだ提供中のように書かれていたり。企業にとっては、自分の知らないところで説明が作られている状態です。

検索順位を追ってきた立場として、ここは早く可視化すべき領域だと判断しました。

――知らないうちに、ですか。

そうなんです。しかもユーザーは、AIの説明をかなり信頼して受け取ります。検索結果なら「これは広告かな」「情報が古いかも」と多少は警戒しますが、AIの回答は自然な文章で返ってくるぶん、そのまま受け取られやすい。

だからこそ、語られ方を把握しておく必要性は高いと考えています。

生成AIやAI検索の広がりは、なぜ一時的な流行ではなく構造的な転換なのか

――こうした変化は、一時的なブームではなく構造的な転換だと考えているのはなぜでしょうか?

情報の通り道そのものが移っているからです。これまでは企業が発信した情報を、ユーザーが検索を通じて直接受け取っていました。今はその間にAIが入って、情報を要約したり、取捨選択したりしている。つまり、ユーザーとの接点にAIという「中間の語り手」が入るようになったわけです。

一度この構造ができると、元には戻りにくい。AIを通さずに情報を届けるルートは、これから少しずつ細くなっていくと考えています。

――間に「語り手」が入った、というのはわかりやすいですね。

ええ。しかもその語り手は一つではありません。ChatGPTもあれば、Geminiもあるし、Perplexityもある。検索のAI要約もそうです。それぞれが別の判断基準で、別の根拠をもとに、自社を紹介している。語り手が複数いて、言っていることが少しずつ違うわけです。

全員が、何を根拠に、どんなトーンで自社を紹介しているのか、企業側はほとんど見えていない。ここに最初の問題意識がありました。一つの語り手に対応すればすむ話ではなく、複数の語り手の全体像を掴む必要が出てきたんです。

AIは企業とユーザーの「中間の語り手」である

「表示された」だけでは見えない、語られ方と競合比較

――表示されているかどうかは、設定すればある程度わかるようになってきました。それでもなお見落とされやすいのは、どんなことだと思いますか?

「出た/出ない」で判断を止めてしまうことですね。自社名がAIの回答に出てきた、よかった、で終わってしまう。でも本当に見るべきは、その先です。

どういう文脈で出てきたのか。「実績豊富な会社」として紹介されているのか、それとも「選択肢の一つ」として軽く触れられただけなのか。同じ「表示あり」でも、中身はまったく違います

――確かに、表示されたという事実だけでは、良し悪しまでは判断できないですね。

そうなんです。なので、言及されているかどうかだけでなく、どんなトーンで語られているか、肯定的なのか否定的なのか、評価の質まで見られるようにしています。

出ているか出ていないかは入口で、本当に見るべきは中身だと考えています。

インタビューに応える土井

――それに、AIは比較や順位づけもしてきますよね。

はい。「A社とB社、どちらがいい?」と聞かれれば、AIなりの基準で順位をつけて答える。その過程で、企業が想定していない評価が形づくられていきます。

自社では強みだと思っているポイントが、AIの回答ではまったく触れられていない、ということも普通に起こる。逆に、それほど推していなかった部分をAIが評価して前面に出してくることもあります。AIが見ている自社像と、自分たちが思っている自社像が、ずれているわけです。

――自社が「誰と並べて語られているか」も、見えにくい部分ですよね。

はい。AIの回答の中では、自社のすぐ隣に競合が並んでいることが多い。「この分野なら、A社、B社、C社あたりがおすすめです」という形で、横一列に並べられる。しかもユーザーには、並びがそのまま比較表のように見えます。

何番目に名前が出るか、どんな枕詞をつけて紹介されるか、それだけで印象は変わる。でも企業側は、自分がどの会社と並べられ、何番目で、どう比べられているかを、ほとんど把握していません。ここが大きな盲点だと思います。

AI上の見え方は、認知・比較・意思決定にどう効くか

――AIでの語られ方は、最終的に何に影響すると考えていますか?

認知から比較検討、そして最後の意思決定まで、ひと通り影響すると考えています。ユーザーがAIの答えを参照して動く以上、AIの中での評価が、そのまま顧客の第一印象になる。

「この分野ならこの会社」とAIが言えば、検討のスタートラインになりますし、逆に触れられなければ、検討の対象にすら入れない。第一印象が、企業の知らないところで決まっていく構造になっています。

――検索からの流入数だけを見ていると、そこは取りこぼしてしまう。

見落としやすい部分です。流入は「来てくれた人」しか映しません。でもAIの段階で候補から外れた人は、そもそもサイトに来ないので、数字に現れない。見えないところで機会を失っていても、気づけないわけです。

アクセス解析上は問題なく見えても、その手前で候補から外れている、ということが起こりうる。だからこそ、流入の手前にあるAIの中での見え方を、別の指標として持っておく必要があると考えています。

――それは一度確認すればすむ話ではないんですね。

はい、AIの回答は変動しますから。同じ質問でも、時期やモデルによって答えが変わります。先週は一番手で紹介されていたのに、今週は名前が出てこない、ということも起こる。

だから一回見て終わりではなく、継続的に観測して、傾向として捉えることが大事です。回答そのものを記録して時系列で残しておけば、いつ扱いが変わったのか、何がきっかけだったのかも追える。

まず企業がやるべきは、今、自社がAIにどう扱われているかを一度きちんと把握すること。判断はそこからだと考えています。

AKARUMIで、企業はまず何を把握すべきか

――開発の課題に対して、AKARUMIはどんな役割を果たすツールなんですか?

ひとことで言えば、これまでブラックボックスだったAIの中の評価を、見える状態にする入口です。

自社がAIの回答でどのくらい言及されているか、何番目に出てくるか、どの情報源が参照されているか、競合と比べてどう扱われているか。見えなかったものを、数値とテキストの両方で確認できるようにしています

複数のAIをまとめて見られるので、語り手ごとの違いも一画面で把握できます。

AKARUMIの画面を見ながら解説する土井

――参照している情報源まで見えるんですね。

とくに重視している部分です。AIがどのページを根拠に自社を紹介しているかがわかれば、情報源に正しい情報を載せる、古い記述を直す、といった打ち手に直結します。

評価の結果だけでなく、評価がどこから来ているかまで遡れる。ここが見えると、改善のとっかかりが掴みやすくなります。

プロンプトごとに「どのサイトが引用されているか」「自社の順位はどれくらいか」を確認できる。とくに、引用されているページと自社ページを比較することで、戦略設計がしやすくなる点も魅力。

――企業はまず、どこから始めるべきだと考えていますか?

まずは現状を知ることからですね。施策を打つにしても、今どう見られているかがわからないと、何を直せばいいかも決められません。健康診断と同じで、まず測る。自社がAI上でどう扱われているかを把握する。スタートはそこだと考えています。

測らずに対策から入るのは、症状がわからないまま薬を選ぶようなものですから。

――どんな企業にとって、とくに意味が大きいと感じますか?

自社名で比較検討されやすい業界、たとえば候補をいくつか挙げて選ばれるような商材やサービスを持つ企業ですね。そういう領域では、AIの中で隣に誰が並ぶかが、そのまま結果を左右します

あとは、ブランドの評判が価値に直結する企業。AIに事実と違う説明をされていたり、ネガティブな文脈で語られていたりすると、信頼の損失につながりかねない。早めに現状を把握しておいたほうがいいと思います。

――最後に、AI時代のブランドの見え方が気になっている方へ、伝えたいことはありますか?

見えない状態のまま放置するのが、一番判断を誤りやすいと思っています。一度見てみると、「思ったより悪くなかった」ということもあれば、「ここまでずれていたのか」と気づくこともある。

どちらにしても、見えれば打ち手は具体的になります。AKARUMIは、最初の一歩を踏み出すための道具だと考えています。

AKARUMI サービス資料 ダウンロード